2019/03/17
今回、イタリアのトレンティーノアルトアディジェより来日した当主エリザベッタさんの息子さん、テオ。
幼い頃からワイナリーに親しんでいた彼が色々な興味深い話をしてくれました。
ちょっと長いですが、せっかくご縁を頂いたので皆さんにも知っていただけたらと思います。
まず、馴染みの少ないテロルデゴ。
元々は品質の高い、高貴なワインとして生産されていました。
そして第一次世界大戦までこの土地ははイタリア領でなかったため、
より栄えていたドイツやオーストリアへ運ばれて行きました。
その後の戦争によりイタリア領になるも、イタリア内での認知度がないばかりでなく、
イタリア内では北に位置するというだけで白ワイン造りを求められる様に。
結果的に美味しいテロルデゴは売る市場をなくし、多産型のクローンばかりに植替えられてしまいました。
1983年に当主となったエリザベッタは、その歴史を学びテロルデゴのポテンシャルを自ら必至に取り戻して行きました。
常により良いブドウ造りを目指し、いくつもの試みをし続ける彼女。
後にアンフォラを使い始めました。
アンフォラと聞くと、ジョージアワインの独特な味わいを連想する方も多くいますが、
彼女が用いたアンフォラは、スペイン産のものでした。
ワインの醸造をする目的として作られたジョージアのアンフォラは薄く目が粗く、内部に蜜蠟が塗られていて、それがワインに特有の個性を反映することがあるのに対して、
スペインのアンフォラは、元々オリーブオイルやワインを輸送するための容器としての役割だったため、目も細かく厚みもあり、蜜蠟も必要が無いものでした。
彼女達が大事に育てる土着品種のノジオーラは、1950年代に300haあった畑が、量産に向かない理由で引き抜かれてしまい、
今では35haまで減ってしまったブドウ品種です。
そしてノジオーラは決して華やかで目立つ個性ではなかったため、
より少しでもブドウの個性をワインに反映させようと、彼女はノジオーラに長いマセレーションを施しました。
長いマセレーション時も丁度良く酸素を取り入れ、かつ木樽のような風味を付加しない。
それにふさわしいのがスペイン産のアンフォラ。
ジョージアのような伝統的なものではなく、
彼女等が大切にする土地の品種のための、テクニカルとして試みた手法でした。
現在もさらにフレキシブルな挑戦を続けているとのこと。
当主エリザベッタとともにワイナリーで活躍する長男エミリオにも受け継がれているようです。
これからも素晴らしい歴史を持つ彼女達のワイナリーを応援していきたいと思います!!